歌のメモ

 歌を録音したメモを作った。
 
 著作権的には完全にクロ。まあ著作権親告罪なので、権利者が訴えない限り問題にはならないのだが。使った曲はどちらも、レコードを発売した会社がもう無かったり、アーティストは違う会社に移ったけど新しくCDなど出る可能性のなさそうなものだが。
 
 

 
 三上寛の「夢は夜ひらく」からの一部。三上寛はぜんぜん知られていない人だけど、ものすごい歌手だ。演歌ならぬ怨歌の歌い手だ。
 
八百屋の裏で泣いていた 子供背負った泥棒よ
キャベツ一つを盗むのに 涙はいらないぜ
 
 たった二行とは思えないほどの、この歌詞の重みはどうだ。
 メモでは、最後に警察官を登場させている。これは子供の目に触れるうごメモの性質を考えて、盗めば逮捕されるという図式を重視しただけだが、個人的にはこの歌の泥棒は逮捕されないものだと思っている。
 逮捕されて泣いたわけではなく、盗んだことで泣いているのが、この歌なんだと中野は感じたのだ。生きるため、そして子供を生きさせるためにキャベツを盗まざるを得なかった泥棒。そんな絵が頭に浮かぶのだ。
 命に比べればキャベツ一つを盗む罪など、泣くには値しないことだぞ。仕方なく盗むしかなかったのだから。と歌っているのだ。涙はいらないぜ。
 ああ、激しくて優しい歌だ。
 
 

 
 たまの「牛乳」から。前半1分30秒ほどかな。周波数を倍にしてBPMと音の高さを上げて6速で録音、それを5速に落としてメモにしてある。
 
昨日牛乳を飲みすぎたので牛が見ていたはずの夢を見て起きると
僕のおなかの上で死んだまんま眠ってる猫
君にあげないばち当たって 君を死なせたばち当たって
僕のおなかが鳴ってる ゴロゴロゴロゴロ泣いてるよ
君がおとなしく 目を閉じて丸くなっている
僕はその隣で おいしそうに牛乳飲んでいる
何にもしてあげない僕と 何にも欲しがらない君は
生きている人と 死んだふりした猫だよ
 
生まれて初めて 君が火だるまになってる
火事場の馬鹿力で 生き返らないかと思う
一人になっちゃった僕らの 夕食の時間だよ 
だけどいくら台所探しても どこにも何にも見つからない

 最後の4行はメモに入りきらなかった部分。ああ、ここまでメモにしたかった。
 見てのとおり、ペットロスの歌だ。猫が死んでしまい、自分を責め、生きる気力を失い、食事も喉を通らなくなる、そんな悲しさの歌だ。

 通報されたら仕方ないけど、通報する者はその前に、歌詞の意味を見て欲しい。通報も止むなしと思ってでもこのメモを作った意味も見て欲しい。